
◎試験の概要

◎ここ数年を通じての全体概観
慶應義塾大学経済学部の日本史は、記号式問題をマーク式で回答させる形式が主流となっている私立大学の入試の中では珍しく、記号式問題、人物や用語を答えさせる記述問題、本格的な論述問題と出題内容が多岐にわたっている。
詳しく内容をみていると、単に歴史用語を答えさせる問題や、史料を読み取らせる問題、年代の並び替え問題、地図を使った問題などが出題されている。慶應義塾大学は学部ごとに出題形式がかなり違うが、経済学部はオールマークシート形式の法学部と比べても明らかに雰囲気を異にする出題がなされているので、併願する受験生は経済学部独特の対策が必要となる。
経済学部と近い出題形式は同大学の文学部だが、それでも出題範囲が違うことや論述の問題タイプが違うことなどと、やはり多くの相違点があるので、いずれにせよ経済学部の過去問をよく研究して対策しておく必要がある。
最大の特徴としては、論述問題が例年8題~10題程度出題されていることである。試験時間が80分あるということからも、しっかり知識を整理できているかをとうていることが伺える。
その結果、トータルの記述量はかなり多く、制限時間から考えても多くの分量を課されることになるので試験範囲が限られているとはいえ、十分な対策を行う必要がる。対策方法については後述する。
出題されている問題のレベルについては、慶應義塾大学だけあってハイレベルなものが多い。当然受験生が知らないような知識を聞かれる問題も出題されるが、過去問演習の際はその問題ばかりに目を向けて、知らない問題だからと焦ってはならない。まずは、必ずセンター試験レベルの簡単な問題も一定の割合は出題されているので、そのような問題を見抜けるようになり、そして何より落とさないことが大切である。そのうえで、難関大学で繰り返し出題される事項の確認を行っていけばよい。
また、とりわけ論述問題の多さから、この問題の配点が高いことは明らかなので、こちらの得点が合否を左右すると言っても過言ではない。
しかし、出題されている論述はよく聞かれているテーマであるものの、問題文には使用する用語等のヒントがないことが多く、完全に実力が出る難関国公立対策と同じように、教科書に沿った記述が書けるかがポイントとなる。用語集で歴史用語の確認をするとともに、教科書の記述の確認も怠ってはならない。
◎時代別のポイントと対策
慶應義塾大学経済学部は出題範囲が江戸時代以降なので、それ以降の対策を記しておく。
・近世(江戸時代)
江戸時代の将軍は出来るだけ1~15代すべて覚えること。また、各々大体どれぐらいの時期に在職していたのかも西暦で確認しておくこと。政治史も大切だがその他の分野からの出題も多いのも特徴である。
特に文化史で扱う思想家についての出題は要注意である。学問ごとに分類し、師弟関係を整理したうえで時代、著名な書物、思想内容をしっかり確認すること。
その他にも、農業・交通・民衆の暮らし、経済といった諸分野もテーマ史として注目して学習したい。
・近代以降(明治時代~戦後)
明治政府の近代化の歩みは頻出である。江戸時代の貨幣改鋳や明治時代の地租改正や松方財政絡みは経済学部との絡みにおいても大切であるのでよく確認すること。
また、意外に出題されるのが大衆娯楽や生活に関連した文化史である。よく対策しておかなければ出題された時に苦しい。そして昭和期から戦後は、経済学部でも政治史が中心になるが、発展的な経済史を聞かれることも多い。特に選択式の問題において細かい知識を問うものもあるので過去問を通じて知識を吸収していく必要がある。
現代も試験範囲が限られていることから1990年代まで必ずおさえたい。現役生はなかなかここまで手が回らないかもしれないが頑張ってもらいたい。
また、慶應義塾大学経済学部に限らず明治時代以降は元号と西暦が対応出来るようになると、より問題が解きやすい。例えば、終戦の年である1945年は昭和20年である。このようにいくつか覚えておいてあとは簡単な計算でこの対応を導ける程度で良い。
◎形式別の特徴と対策
・出題範囲について
慶應義塾大学経済学部の日本史は出題範囲が予め1600年以降、つまり江戸時代以降と限定されている。そのため、当然のことながら他大学に比べて江戸時代以降のより細かい知識や、歴史の正確な体系的理解を問う設問が多い。また、戦後史においても毎年かなり現代的な出来事まで問われているので、必ず1990年代までしっかりと学習しておく必要がある。
・年代並び替え問題について
毎年、5つの選択肢を古い順に並び変えさせる問題や、ある出来事の時期を選ばすタイプの問題が出題されている。したがって、年号についても暗記しておかなければならない。語呂合わせを使うなど自分なりに工夫すると良い。
オススメの参考書は『元祖 日本史年代暗記法(旺文社)』である。
・論述問題について
本学部最大の特徴であり、メインとなる問題である。この問題の出来が合否を左右する。例年難関国公立レベルの多くの論述問題が出題されているので、時間配分も本番においては重要である。
出題形式は〔解答欄B〕の所定の欄の範囲内で回答させるもので、問題によって与えられている行数が違う。短い問題は1行というのもあるが、本格的な問題は4~5行書かせる問題もある。
主に問われるテーマは、論述問題定番のテーマが中心ではあるが、中には当然難しいものも含まれている。(2019年度は沖縄県の米軍施設問題の経緯を1996年から2015年の間で流れに沿って記述させる問題が出題された。)
内容としては歴史の流れを聞く問題や、歴史用語の説明を求める問題、ある出来事の内容や原因・結果を問う問題が中心で、使用語句が指定されていないタイプの比較的オーソドックスな問題形式である。
対策としては、日本史の教科書を読み込んで、それに沿った記述をしていく事が大切である。
また、実質的な字数制限が課されていることになるので、書き出す前に何を優先して書くか、または、何を書く必要がないかを考えることも大切である。このような事は、過去問演習を通じて経験を積んで慣れていかないと簡単には習得できない。可能な限り過去問演習を行い、誰かに添削してもらうと良い。添削してくれる人がいない場合でも、必ず模範解答と照らし合わせて自分の記述の足りない要素、または余計な要素は何かを考えて、次の答案に生かしていく必要がある。
オススメの参考書は『考える 日本史論述(河合出版)』である。よく出る論述テーマに沿って論述問題回答の際のポイントを細かく記してある。
いずれにせよ、問われている内容や形式からして難関国公立と同レベルの答案が合格答案として求められている。他の私大の論述問題とは違ったレベルの対策が必要なので抜かりない対策が必要である。
◎記号選択式の問題について
慶應義塾大学経済学部においては、あまり出題されないが、本学部を受験する受験生は当然に他の大学学部も受験するだろうから、本記事でも紹介しておく。
難関私立大学において5択式記号選択問題等の対処は非常に重要である。この手の問題は受験生の知らない知識を並べて、難しくみせている問題が多いが、実際はセンター試験レベルの凡ミスを見つければ解けてしまう問題も多い。
過去問演習を通じてこのセンター試験レベルの凡ミスを見つけていく訓練をしていこう。そうすれば、おのずと得点アップを図ることが出来る。以下に具体例を載せておく。
例題:以下の中から誤っているものを選びなさい。
ア、受験生の知らない知識を使って作成した正しい選択肢
イ、受験生の知らない知識を使って作成した正しい選択肢
ウ、受験生の知らない知識を使って作成した正しい選択肢
○ エ、センター試験レベルの凡ミスが隠れている選択肢
オ、受験生の知らない知識を使って作成した正しい選択肢
このように、受験生は知らない事項が書かれた選択肢が含まれた問題をみると、難関大学の問題だから難しい知識を聞かれているのだろうと思い込み、選択肢ア~ウ辺りの選択肢に引っ張られてしまい、それを選んでしまう傾向が強い。
実際、この例題のように選択肢エにセンター試験レベルの凡ミスが隠れている問題は非常に多い。このように、自分の知らない知識が書かれていても、選択肢全体を見渡しセンター試験レベルの凡ミスを見つけられるように過去問研究を通じて慣れ、発見できるような力をつけることが合格に向けて必要なことである。
◎まとめ
まず、B方式(英語・日本史or世界史、小論文)で受験する方は、英語の学習を一番に進めていただきたい。英語で点数が取れなければ、日本史は採点さえしてもらうことができない。
慶應義塾大学の経済学部においては、基本的な知識に基づいた問題分析力と論理的な表現力が問われている印象がある。それは、センターレベルの知識で誤答をつくっていることや論述問題を多く出題している点から感じられる。
慶應義塾大学の受験を考えている方で、何をすれば良いのか悩んでいる方はよろしければ一度受験相談に来てみてください。
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