現役慶応大生が慶應義塾大学法学部の小論文を書いてみた!!

~2011年度入試 「抵抗権について」を題材に~

(解答例は一番最後のページにあります)

◎試験の概要

◎過去の出題と頻出テーマ

2019年度 国際人権問題
2018年度 現代社会のリスク
2017年度 立憲主義
2016年度  世界文明の到来
2015年度 人間社会における関係価値
2014年度 「ケアの倫理」と「正義の倫理」について
2013年度 内閣総理大臣のリーダーシップの在り方について
2012年度 「未来国家」の在り方
2011年度 「抵抗権」について
2010年度 ポリスの対立を題材に市民としてどのような決定を下すか
2009年度 セキュリティー社会の是非
2008年度 「知識人」の在り方
2007年度 戦争責任

 このように法学・政治学からの出題が中心であるが、その枠に捕らわれない出題も見られる。幅広い分野での視野が必要となるので普段からニュース等には敏感である必要がある。

また、武田塾でも使用している『小論文の完全ネタ本(文英堂)』を利用してある程度の基礎知識をインプットしておくのもよい。

しかし、小さいテーマでは異なるが、大きく同じようなテーマについて角度を変えて出題しているともいえるので(例えば2014年や2015年は共通して「公共性」がテーマとなっている)、過去問から具体例を集めてネタ帳などにまとめておき、試験本番ではその中から使えそうなものを適切に選び論を展開できれば、合格点は取れるレベルである。その意味で過去問研究も非常に重要である。

◎試験のポイント

 慶應義塾大学法学部の「論述力」では、評価ポイントについて事前に問題用紙の表紙に示されています。そのため、ここが評価の参考になります。

 そこには、「理解力」「構成力」「発想力」「表現力」の4つが評価の対象になると明示されているので、答案作成の際はこれらの点に注意し作成してください。

それぞれの力についてみていくと、以下のようになる。

①理解力

 「理解力」とは、難解な本文の内容を論理的に正確に理解し、筆者の問題提起を見つけることが出来るかといった課題発見能力を見ているものと思われる。

 これは、設問で毎年必ず求められる要約や、小論文の書き初めに大切となるテーマ設定の場面で必要となる力である。現代文の力と直結することから、慶應に現代文は無いといえども疎かにすることは出来ない。

②構成力

 「構成力」とは、自分の考えを論理的に相手に伝えることが出来るかという力だと思われる。同じ内容を書くにしても構成の仕方を間違えると説得力に欠けたものになってしまう。

 これは何度か答案を書いてみて、実際に添削を受けていかないと自分では気づけないものでもあるので、必ず小論文は先生に添削してもらうようにすること。

③発想力

 「発想力」とは、課題として取り上げたテーマ設定に対して、適切な具体例を挙げながら、個性的で独創的な自らの考えを相手に伝えていけるかということだと思われる。

 同じ課題でもどの具体例を出すかによって自分の考えを相手に伝える際の表現が変わっていく。ただ、ここで気を付けなくてはいけないのは、あくまで社会科学系の小論文なので、あまりにも奇をてらうような意見を述べる必要はない。

 あくまでも現実に起きている問題に対して答えるのだから、現実的な答えである必要がある。独創的であるとはいえ、現実離れした回答は控えること。

 具体例を挙げるためには、法学・政治学の基礎知識はもちろん、普段からニュース等に触れている必要があるので、ニュース、新聞等にはなるべく目を通しておくとよい。年末になると書店に『日本の論点』という類の本が並ぶので、直前に確認するのに利用してみるのも良い。

④表現力

 「表現力」は正しい日本語、適切な表現が使えているかを見ているので、答案作成の際に注意すること。ここでは語彙力で差が生まれてしまうので、やはり現代文の力はあなどれない。

 では、以上の4点を踏まえた上で、実際どのような答案を作成すればよいのか。

◎2011年度 論述力「抵抗権について」

 社会科学系の小論文の書き方も含めて、実際の入試問題(2011年 抵抗権について)を題材にみていくことにする。(問題等は赤本やその他で出ている過去問を参照されたい。)

A. 時間配分について

目安としては試験時間90分の中で、

①最初の10分程度で本文を読み
②次の10分~15分程度で答案構成を考えて
③残り65分~70分程度で答案を作成していく

のが望ましい。

B. 筆者の抵抗権についての捉え方についての要約

・字数は無制限だが、ここでは400~450字程度が望ましい

要約の際の注意点
・本文中のキーワードはそのまま写す。勝手に自分の言葉に変えない。
・具体例やエピソードに反応しない。そこは要約には使えない。
・本文全体の要約が求められた年はほぼない。設問をしっかりと読み把握し、設問で聞かれた事のみを本文から探して要約すればよし。聞かれたこと以外をダラダラ要約しない。

本問解答に含めるべきポイント
 ・以下のポイントが書いてあればよい。
抵抗権は
① 行いをもって抵抗する権利
② 自然法を起源としている。※超実定的抵抗権は自然法に基づいているも可  ↳ロックの社会契約説が由来。国家権力がない社会の在り方を「自然状態」         
とよび、この 状態では各人が生まれながらにして持つ自分の「自然権」を好き勝手に行使する戦争状態=「万人の万人に対する闘争」であると言われたが、ロックは「自然権」を行使して も人間は「自然法」に従ってそれなりには平和に暮らすことが出来ると主張した。
③抵抗権の実定化が進んだ。
④「実定的抵抗権」(合法的抵抗権)は例外 or「合法的抵抗権」は実定法の枠内での抵抗権
⑤法実証主義は合法的抵抗権しか認めない。
⑥法の効力と良心は無関係なものとされる&超実定的抵抗権は…良心の問題である
⑦実定的抵抗権でさえ、行使する動機には不正を強制されることへの抵抗という良心  
の問題がある
⑧どんなに抵抗権の実定化が進んでも、完全な政体と法秩序はあり得ない or いかなる民主政体であっても不正は存在する
⑨憲法や権力の不正が改められる可能性がある。
⑩「超実定的抵抗権」の可能性と意義は失われていない。

C. 意見論述部分

【社会科学系小論文の書き方】

(1) 設問の指示に従う
①指示された作業を行う。
②論じるよう指示されたテーマについて論じる。

(2)課題文を踏まえる
①課題文の問題提起を発見し受け止める。
②課題文に指示されている論点やキーワードを必ず使って論じる。慶應大学法学部の場合、特に対比(二項対立)に注意する。筆者の問題提起、意見を参考にどちらの立場になって議論を進めていくのかを決める。

(3) 書く前に構想を練る
①設問が論じるように指示しているテーマと課題文の問題提起を受け止めるに相応しい主題を設定する。
②設問が論じるように指示しているテーマ、課題文の問題提起、主題と対応した具体的素材を選ぶ。

(4)見解論述の書き方
①本文に関連しながら問題提起に関して、はじめに結論を述べてうえで、なぜそのような考えに至るのかを具体例を用いて論理的に論述していく。ここの理由付けがどこまで説得力があるかが大切である。
 また、字数は比較的短いのでいきなり具体例を用いながら問題提起を行い、結論を述べていく形式でも問題なく合格している。書きやすい方で良い。
②論述の最後に社会的対応策を入れた方がよい。

(5)「である」体を使うこと。「~と思う。」とは書かず「~だ。」と言い切ること。

【不合格答案例】
・説教・道徳・決意表明。
・意識の問題に解消
・超歴史的文化論(国民性論)に解消
・説明・解説に終始
・なんでも教育論に解消
・「~を考える必要がある」を語るだけ(それをここで考えるのが社会科学系小論文)
・人それぞれといった相対化に終始  
・予想・予言に終始(特に最終段落でただの予想で終わる答案が多いので注意)
・無理だ無理だの運命論   
・課題文の主張へのYES/NOに終始

社会科学系の小論文なので以上の答案は不合格となる

D. 解答例

抵抗権とは、「抵抗」する「権利」である。「抵抗」とは、言葉だけではなく行いによって「反対する」ことだ。権利には、それが保障されている場合とされていない場合がある。前者は「合法的抵抗権」とよばれ「悪法も法なり」とする法実証主義でも認められているもので、例外的に実定法の枠内でしか行使されない。抵抗権の実定化は、幅広く抵抗権を実定化した政体である民主制の下で国の安定性と秩序を保障しつつ支配者の交代を実現するといった進歩をもたらした。それに対し、後者は実定法と国家権力の不正な強制に抵抗する「超実定的抵抗権」であり、自然法思想に根拠を置く良心の問題である。その行使は、良心に従った義務で、その義務ゆえの権利である。国家権力は強いので、個人による抵抗権の行使は負けるだけでなく、処分を受ける覚悟もしなければならない。だが、どんなに抵抗権の実定化が進んでも、完全な政体と法秩序はあり得ず、抵抗の結果悪法や権力の不正が改められる可能性はある。それゆえ、超実定的抵抗権の意義は失われない。以上のように筆者は抵抗権を捉えている。
「日の丸・君が代」の「掲揚・斉唱」の実施を教職員に強いる都の決定に対し、それに伴う処分は憲法の保障する思想・良心の自由を脅かす不当なものではないかという訴訟が行われた。判決では、従来から全国で広く実施されていることや、国旗国歌法や国歌斉唱を「指導する」とした学習指導要領が存在していることなどを理由に訴えを退けた。つまり、少数者保護を目的としているはずの憲法の人権規定が重視されなかったのだ。これに対し、実質的に憲法の保障する人権を侵害することは不当だと教職員側は上告した。
裁判でも、憲法の保障する基本的人権が保障されないなら、合法的抵抗権の道は狭まるとともに、近代立憲主義が揺らぎかねない。そして、国家に対し個人が処分覚悟でこの自由を実現するために、超実定的抵抗権の行使しか道が残されなくなってしまうが、その覚悟を持てる教職員はそういない。歴史を振り返ると、超実定的抵抗権の行使で、公民権運動のように救われた人権があったことからその権利の行使自体が悪いわけではない。しかし、多様な意見の存在を前提とした民主主義、ひいては近代立憲主義を守るためにも、司法は、反対意見を覚悟した少数者の超実定的抵抗権に追い込む判決ではなく、少数者の人権をも最大限保証した判断をするべきである。(994字)

ポイント
・要約で 1 段落作り、意見論述で複数段落作ること。
・解答例では、私的空間での精神的自由の侵害を具体例に挙げ、それに対しての抵抗権の在り方を述べるという構成である。
・この解答例は受験生が実際の試験会場で書けるだろうレベルを考えて作成しているため、大手予備校の模範解答には劣りますが、このレベルでも合格出来ましたので参考までに。

オススメの参考書

語彙力強化

入試漢字マスター1800

まずはこの参考書を使って、漢字が書ける、読めるようになってください。

それと同じくらい大切なことは、漢字(熟語)の意味をしっかりと覚えていってください。漢字マスターには漢字(熟語)の意味もしっかりと書かれていますので、それを自分の言葉として覚えていってください。

この意味をしっかりと覚えていくことが語彙力の差になります。漢字を覚えると同時に語彙力の強化をしましょう。

ことばはちからダ!

こちらは語彙力を強化するための参考書です。現代文でよく出てくるキーワードをこの参考書を使って学んでください。

キーワード読解

こちらも語彙力を強化するための参考書です。現代文でよく出てくるキーワードをこの参考書を使って学んでください。

漢字と語彙力を強化するための参考書を3冊紹介しましたが、語彙力がなければ自分が表現したいことを正確に相手に伝えることはできませんし、自分で正しい意味で伝えてるつもりでも、相手には違った意味で伝わってしまう可能性もあります。

そのため、しっかりと語彙力の強化をしていってください。

知識強化

小論文の完全ネタ本

言葉の意味をしっかりと知識として持つことにより、課題文を正確に読め、文章を作る際にもその知識を使ってかけることも増えます。

オススメの使い方は、この参考書に載っている言葉を1つずつ要約してみることです。100字要約、あるいは300字要約してみるとかなり力がつきます。要約する力がつくと文章の読み方がかなり変わります。

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