慶應義塾大学法学部 『日本史』 2019年度分析(後編)-現役の慶応大生が徹底解説-

 前編に続き、2019年度の慶應義塾大学法学部の『日本史』はどのようなものだったのか、設問別に分析し講評を載せていく。

日本史の問題分析記事においては、確実に正解したい問題については〇差が出る合否に影響する問題は△解答不能な難問は×を付けてあるので参考にしてほしい。

〇はセンター試験レベルの基本で確実に正解する必要がある。しかし、×の問題は出題頻度が低く、ほとんどの受験生が出来ないので差がつかない。そのため、出来なくてよい。慶應法学部において大切なのは△の問題をどれだけ解けるかということである。用語集の頻度は低くなっているが解答不能ではない問題は出来るだけ拾っていきたい。

※2019年度日本史平均点
 法律学科 48.03点 政治学科 50.25点

※難易度判定等はあくまで筆者の主観に基づくものであるので悪しからず。

問題Ⅲ 神判・訴訟の歴史 (難)

△(49)(50) 13 允恭天皇

倭の五王である「讃・珍・済・興・武」の中の「済」について答える問題。一応用語集に記載はあるものの、その出題頻度は低く、また説によって該当する天皇に争いがあるところでもあるので、ここまで確実におさえていた受験生は少なかっただろう。しかし、資料集に目を通したことがあれば、1度は目にしたであろうことや、他の問題の難易度等を考慮しても、出来ればこの問題は選択肢を頼りに取っておきたい問題だったかもしれない。いずれにせよ正解率はそこまで高くないと思われる。

〇(51)(52) 44 源頼義

やや迷うかもしれないが、この親子関係は比較的頻出なので覚えておかなければならない。これは正解したい。

×(53)(54) 12 石清水八幡宮

 石清水八幡宮は有名だが、この文脈からの判断は難しい。また、足利義教の将軍就任はくじ引きで決まったことも有名だが、それが石清水八幡宮で行われたことまでは多くの受験生は知らないと思われる。よって、消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

〇(55)(56) 02 赤松満祐

 センターレベルの基本。確実に正解したい。

×(57)(58) 34 伏見宮貞成親王

消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

×(59)(60) 18 織田信長

正解だけ見たらとても簡単な問題に見えるが、問題文のヒントから解こうとすると解答不能な問題が稀に存在するのが慶應法学部の特徴である。今回は小学生でも知っている織田信長が出題されているが、「太田牛一によってまとめられたある人の軍記」というヒントだけでは戦国マニアしか分からない問題である。このような問題は当然解けなくてよいので安心してよい。

※明治時代においてもこのように少ないヒントで有名人を当てるという問題が出題されることがある。どうしてもわからず勘に頼らざるを得ない時、選択肢に「福沢諭吉」がある場合はとりあえずそれを選んでおけば高確率で正解となる。慶應大学だけあって、福沢諭吉が日本史の問題に出てくる頻度は法学部に限らず高い。

×(61)(62) 24 牛玉宝印

消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

〇(63)(64) 32 林羅山

センターレベルの基本。江戸時代の林家一族はよく聞かれるので似た名前に注意しつつ確実に点を取りたい。

△(65)(66) 02

問題中の史料だけでなく、P9の問題文そのものを読んで鉄火起請がどのようなものであったかを把握していないと正解に至ることのできない問題であった。その意味でセンター試験にも似たようなタイプの問題が出題されているが、それよりも難しい。史料だけで解こうとした受験生は間違えたのではないか。しかし、史料の読み取りはさほど難しいものでもないので、02の選択肢でP9問題文の理解が必要であることに気付きつつ、落ち着いて消去法を使って解答したい。01は史料の中で盟神探湯に小石が使われたとの記載はないので誤り。03は史料にそもそも記載がないので誤り。04も史料にそもそも記載がないので誤り。05は最後の記述が誤り。史料の最後の部分と矛盾する。史料では氏姓の乱れが収まったと述べている。

〇(67)(68) 04

この問題も受験生の知らない知識をたくさん並べて選択肢が並べられているため手強そうに見えるが、04の選択肢に誤りがあることは、一般的な受験生には細かい知識だが、用語集に記載があるところで、慶應法学部受験生なら気付いて正解したいところだった。このようなタイプの問題は早稲田大学が良く出題するタイプなので、そっちで練習してみるのも良いだろう。

△(69)(70) 04

この問題も史料と慎重に照合すれば無理なく正解に辿り着けたと思うので差が出る問題となった。04が正解で、起請文を書いた後の病気は全て「失」に該当する旨の記載が史料にあるのでこれが適切ではない選択肢となる。よって04が正解である。01は鼻血を出すことや重軽服(=喪に服すこと)が「失」に該当することから適切である。02は「父子の罪科出来の事」が「失」に該当するとしていることから適切である。03は史料にそのような記載はないから適切である。05は史料の最後に27日経った後の事についての規定があるので適切である。

〇(71)(72) 25 割符

一瞬迷うかもしれないが、学んだ知識で確実に正解したい。

×(73)(74) 04

消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

問題Ⅳ 伊福部氏と古代~現代の政治・社会・文化 (難)

〇(75)(76) 12 大伴家持

万葉集は「令和」の出典元となったので今年以後の入試においては、しばらく注目されたい。

×(77)(78) 05 因幡

消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

×(79)(80) 37 たたら

消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

〇(81)(82) 68 文武天皇

ヒントとして出されているのは粟田真人が遣唐使として派遣された時に即位した天皇、そして707年崩御とやや難しいかもしれないが、平城京遷都前の天皇をヒントに考えれば、慶應法学部受験生なら確実に正解したい。

×(83)(84) 09 大江匡房

この人物自体は重要だが、問題文中のヒントだけで導きだすのは困難である。消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

△(85)(86) 18 ケプロン

クラーク博士とのひっかけを狙った問題かと思われる。実際選択肢にも「クラーク」がある。札幌農学校はケプロンが計画構想を練り、完成後に赴任したのがクラーク教頭だった。よって問題文の文脈ではケプロンが正解となる。多くの受験生がひっかかったのではないかと思われる。

△(87)(88) 69 山田耕筰

山田耕筰自体は有名だが、問題文のヒントである童謡『赤とんぼ』の作曲家だけでは、正答を導くことは困難である。

×(89)(90) 53 フィリピン

消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

△(91)(92) 01 甘粕正彦

虎の門事件の一因になったという点に注目したい。選択肢に難波大助がないことも考慮に入れ、消去法で震災混乱時に発生した甘粕事件を思い出せば正解に至ることも出来ただろう。

×(93)(94) 28 ゴジラ

作品自体は非常に有名だが、伊福部昭という高校日本史においてマイナーな人が映画『ゴジラ』の、ましてや音楽担当だったことなど多くの受験生が知るはずがない。よって、消去法でも難しいため、ほとんどの受験生が解答不能だったと思われる。

△(95)(96) 16 久保山愛吉

これも難問だが、過去に別のところで出題歴がないわけではない。早慶レベルの過去問を良く解いていれば出来なくはない問題だったかもしれない。

〇(97)(98) 05

藤原京の特徴について適切でないものを選ぶ問題。選択肢bのように規模はそこまで大きくはないこと、また選択肢cの徳政相論は平安京時代の話であることが分かっていれば正解できたはずである。

△(99)(100) 07

やや細かいところをついてきたが、空欄AとBにそれぞれ太政官、神祇官が入ることさえ分かればそれだけで答えが出るので、意外と正答率は高かったかもしれない。この手の問題は資料集において、各時代の幕府・政府の体制を見ておくことが大切で、特にこの分野は法学部にとっては重要である。

◎まとめ

 2019年度の慶應法学部の問題は、〇が16個、△が13個、×が21個となった

特に2019年度は異常に難しい問題が多かったと思われる。こうなるとセンターレベルの問題を落とすのは命取りになる。また、やはり△の問題をどれだけ正解できるかが合否の分かれ目となる。2019年度は合格最低点を見るに6割弱取れれば十分だろう。

早慶レベルの過去問演習を多くこなすと1度見たことある問題が出題されることもあるので、他学部の問題を含め時間の許す限り対策をしておくと有効である

しかし、いずれにせよ日本史といった歴史科目では大きな差は生まれない。1時限目の英語が最大の鍵となるので、日本史も大切だがそちらの対策も抜かりなく行ってもらいたい。

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